偉大な建築家の黒川紀章さんが急逝された。
建築家としてはもちろん、バラエティー番組にも出演されていたそうだし（これは私は知らないけど）、今年の４月には都知事選にも立候補されたりもして、私にとっては、才能が豊かなだけでなく、仕事に対しての自力と精力が旺盛な方というイメージが強かった。
でも、仕事だけじゃなかったんですね。
女性を愛することにも、情熱をかけていらしたようで。
つい先ほど、奥様である若尾さんが取材に応じた時に語られた、黒川さんと最後に交わした言葉という記事を読んだのだけど、このお二人の人となりと、夫婦のあり方に、ひたすら感動……。
『私、いい奥さんじゃなかったわね』 と言ったら、『そんなこと言うなよ。本当に好きだったんだよ』 と言ってくれたんです。
遺言みたいですが、それが最後の会話になりました。１０月１０日のことは一生忘れません。
結婚して二十余年。
お互いに 「好きだよ」 と言い合える夫婦って、素敵。
死の床について居る時に、こんな台詞を呟ける男性も素敵だし、そう言ってもらえる女性も素敵だな、と思う。
ここ数年は、お互いの多忙さから別居していたという。
住まいを別にしながらも、どんなにか多忙でも、携帯電話で毎日話し合い、奥様は旦那様が滞在するホテルに、毎朝手作り弁当を持参していたそうな。
至近距離にいてもすれ違いを抱えてしまうこともあるし、「忙しかったんだ、ごめん」 で済ましてしまってるカップルの方が多い中、この方達は、ただ愛し合ってただけでなく、愛し合い続ける努力をし続けていたんだろうな……。
お互いの愛情が故に、歩み寄り、支え合い、尊重し合い、見守り合い、そうゆう心持や努力を忘れずにいたからこそ、すれ違いや疑いや、その他醜い悪情に惑わされず、一緒に歩み続けてこれたんだと思う。
ふっと、昔見た映画だかドラマだかの台詞を思い出した。
「私が人を愛するようになったら、こうありたい、こうあろう」 って思って、でも、いつしか忘れがちになっていた台詞を。
「愛とは、求めるだけでも与えるだけでもなく、歩み寄ることだ。愛とは、信じることではなく、疑わないことだ」
今こそ、心に刻み込もう……。