ふと外を見たら、空が異様な朱と灰黒で染まってた。
カメラを掴み走り出てシャッターを切ってはみたけれど、私の眼に映る、おどろおどろしいくらいの色合いがどうしても表せなくて、20枚撮ったところで諦める。
なにかありそな。なにかありそな。
ぼぉっと漆黒に包まれ始めた空を眺めながら、思わず、そう呟いてた……。
彼是とやらなくちゃいけないことがあって、机の上も私の頭の中も何がなんだか訳のわからない状態になってる。
何とかしなくちゃと心は急くのに、底なし沼に嵌ってしまったように、ただただ藻掻くばかりな日々。
すっかり漆黒の闇に包まれた庭の片隅に佇む私の頭の隅を、私の心と身体が闘ってるモノタチの名称が掠めた。
あの夕焼け空とこの闇のような、恐怖さえ感じる美しさと虚無感の微妙なバランスは、今の私の心にぴったりだ。
怖くないなんて虚勢は、もう張れない。
何が生まれるか、何が死んでいくかも、今の私には分からない。
でも、苦しみの果てにはきっと、何かが生まれ続けると信じていたい。
冬があれば、春もある。決して、冬ばかりじゃないことは知っているから。