私は自他共に認める活字中毒者で、本の虫で、小説とかだけじゃなく、漫画もアニメも大好き!
日本人だったら、活字中毒まではいかなくても、漫画好き・アニメ好きは多いと思う。
でも、海外における漫画やアニメというモノは、あくまで子供向けというイメージがあることと(新聞掲載の一部の4コマを除く)、日本のマンガの質の高さを知らないから、「漫画やアニメが好きなんて、子供じゃないんだから〜」と言われた経験がある海外在住日本人は多いし、中には、見下すような丸っきりバカにした言動を取られた人や、漫画を読んでただけで「オタクだ」と言われた知人もいたくらい。
文化の違いから発される言葉で仕方の無いこととはいえ、言われる側はたまったもんじゃありません!
ただ近年、ディズニーとジブリが提携したことで、一部の人達だけじゃなく、多くの人達に日本のアニメの良質さを認識してもらえるようになってきているし、ディズニーやピクサー自体がジブリの影響をかなり受け、大人も楽しめるアニメを作り出そうという傾向にあるのは、ファンとしては『これが喜ばずにいられようか!』という感じ。
そして1ファンとして、ただ指をくわえて動向を見守っているだけではなく、その後押しをできるような何かがしたい……と、思い始めている私もいて。
知ってる人は知ってることなのだけど(当たり前)、高校から大学卒業するまでの間、ちょっとばかり声優の仕事(アニメだけじゃないけどね)をやってた関係で、アニメというものには色んな意味でかなり思い入れがあって。
でもって、これまた知ってる人は知ってることなのだけど(しつこい)、何を血迷ったか、ディズニーとかスクエア・エニックスとかで働きたいと思うあまり、就職活動してみちゃったこともあったりして。
今考えてみると、元々、下手の横好きでちょこちょこイラストは描いてたのだけど、自分のスタイルというものが掴めなくてすっぱりと諦めたはずなのに、無茶苦茶なことしたなぁ、と(さっさと気づけよ)。
当時、関わってくれちゃった方々、本当に本当にスミマセンごめんなさい私が無謀でした申し訳ありませんごめんなさいスミマセン……。
でも、その無謀な行動は、結局、勤務条件が合わずに就職するまでには至らなかったものの、その後、光栄にも数人のディズニーやピクサーのアニメーターさん達とお知り合いになれたので、尚更、アニメには思い入れが深くなっていくばかり。
親しくさせていただいてる人はアニメーターには限らなくて、私がやりたいなと思ってた、ストーリーやキャラデザに携わってる人とかもいる訳なんだけど、皆、一人でも多くの人達の心に響く作品が作りたいと思って、ただただ純粋に日々アニメ製作に携わっている人達で。
その中でも、明るく気さくで、多忙な中、嫌な顔一つせず沢山の叱咤激励を下さった、当時、ピクサーのストーリー部門の束ねをしていたジョー・ ランフトさん。
彼が7年前、旅行先で事故のために亡くなられたというニュースを聞いた時の衝撃は、今でも忘れられない……。
私が「環境や状況に流されてないで、後悔のないように、今からでもやりたいことはとりあえず挑戦してみよう」と思えるようになったのは、彼の助言があったからで、公私共に心から尊敬する人物の一人であることは、7年経った今も変わらず。
彼は、私の拙い絵を素直に好きだと言ってくれたんだけど、その理由が洒落ていて、「君の心が見えるから」。
前述の通り、自分のスタイルが掴めず、常に誰かの真似としか思えない絵しか描けない自分が歯がゆくて絵を描かなくなっていた私に、
「例え誰かの物まねだったとしても、その絵の何処かには自分らしさがあるはずだ」
「他の誰でもない、自分が描いた一枚一枚が自分のスタイルだと思って、何がいけない?」
「君は君の思いの丈を、手段はどうであれ、クリエイトするために生まれてきたんだと思う」
「迷いも苦しみも全て、君の絵が訴えていて、それでも描くことが好きだと叫んでる君の心が痛いほど伝わってくる。そんな素直な君の心がそのまま映し出されてる絵が、僕は好きだよ」
……と。
そう言って、長いこと彷徨っていた真っ暗な迷路に光を与えてくれたのが、彼で。
今は、イラストを仕事にしようとかそれに向かって勉強しようとかは思ってないけれど、趣味でさえも筆を持つこと自体を躊躇っていた私が、また気ままに描こうと思えるようになってきたのは全て彼のおかげだと言っても決して過言ではないと断言できる。
絵でも、物書きでも、ボイスでも、写真でも、とにかく、私が心から楽しんで私らしくいられる、そんな日々を送ることが、私が貴方にできる最上の恩返しだと、7年かかっちゃったけど、今、やっと心底から思えるようになったよ、ジョー。
だから。
どうか、これからの私を見ていてやって欲しい。
ジョーならきっと、「お前はすぐ気張るんだから。心の赴くままにいけばいいのさ」と、笑って見守っていてくれてると思うけどね?
今更ながらの追悼と、心からの感謝を込めて。